家族経営が強いは嘘 〜人時売上高で見直す家族の労働評価〜

経営知識

「家族経営は強い」という言葉をよく耳にします。家族で経営することで、信頼関係をもとにスムーズな意思疎通ができ、迅速な対応が可能になるといった利点が強調されがちです。確かに、信頼できるパートナーと一緒に仕事をすることは、家族経営の大きな利点です。しかし、この「強さ」の裏には、見過ごされがちな問題が潜んでいます。それは、家族の労働を正当に評価していない場合が多いということです。特に、家族の労働が適切に時給換算されず、実質的に低賃金で働いている場合、それは決して経営の「強み」ではなく、むしろ「弱み」となる可能性が高いのです。

この記事では、家族経営の全てを否定するわけではなく、家族の労働を適切に評価できていないケースに焦点を当てます。また、その労働評価を正確に行うための指標として「人時売上高」を導入し、経営の実態を見直す方法を説明します。

カフェ開業 知らないと危険な数字と僕のお店の場合

人時売上高とは?

まず、家族経営を見直す際に重要な指標となるのが「人時売上高」です。これは、従業員1人が1時間働いた際にどれだけの売上を生み出しているかを示す指標で、飲食店や小売業の経営において非常に重要な管理指標です。

人時売上高 = 売上 ÷ 労働時間

例えば、あるカフェで1日の売上が100,000円で、従業員全体の労働時間が20時間であれば、以下のように計算します。

人時売上高 = 100,000円 ÷ 20時間 = 5,000円

つまり、この店舗では従業員1人あたりが1時間で5,000円の売上を上げているということです。この人時売上高が高ければ高いほど、少ない労働力で効率的に売上を上げていることになり、経営が効率的であることがわかります。

家族の労働を適正に評価する重要性

家族経営の店舗では、しばしば家族の労働が人件費として正当に評価されず、見えないコストとして扱われることがあります。例えば、家族のメンバーが無償または非常に低い賃金で働いている場合、その労働は経費として記録されないため、一見経営が黒字に見えることが多いです。しかし、この労働を適正に評価せずに見逃してしまうと、実際の経営の実態を正確に把握することができなくなります。

ここで、家族経営における人時売上高を計算してみましょう。例えば、家族4人で経営しているカフェがあるとします。それぞれが1日8時間働き、店舗の売上が80,000円だとした場合、合計の労働時間は32時間です。このときの人時売上高は以下のようになります。

人時売上高 = 80,000円 ÷ 32時間 = 2,500円

この数値は、1時間あたりの売上が低いことを示しています。もし、家族全員の労働が正当に時給で評価されていないと、見た目上は「コストが抑えられている」と錯覚しがちです。しかし、実際には非常に非効率な経営が行われている可能性があります。

自分の労働もコストとして計上すべき

家族経営でよくある問題は、オーナー自身や家族の労働を正当に評価せず、コストとして計上しないまま経営を続けてしまうことです。家族であっても、経営に関与している限り、その労働を適正に時給換算し、経費として計算すべきです。そうしないと、実際の利益が見えなくなり、誤った経営判断をしてしまうリスクが高まります。

例えば、オーナーが1日8時間働いている場合、一般的な時給を設定してみるとどうなるでしょうか。仮に時給1,000円だとすると、オーナー自身の労働コストは1日あたり8,000円です。この金額を経費として計上しないまま経営を続けていると、実際の利益が過大に見積もられる可能性があり、経営の持続可能性を脅かす要因となります。

また、もし自分や家族の労働を時給換算した結果、他の場所でアルバイトをしたほうが得だと感じる場合、それは経営自体が非効率であるというサインです。家族経営であっても、自分の労働をコストとして正確に評価し、それを基に経営判断を行うことが重要です。

労働の評価を通じて見える経営の実態

人時売上高を用いて家族経営を見直すことで、家族の労働がどれだけの価値を生み出しているかを定量的に評価することができます。人時売上高が低い場合、労働力に対して売上が見合っていないことを意味します。これが改善されない限り、いくら家族経営であっても、健全なビジネスの運営は難しいでしょう。

家族経営は、家族同士の協力がうまくいくという強みがある反面、労働の正当な評価を怠ると、経営の効率性が著しく低下します。だからこそ、家族の労働も含めて、すべての労働を適正に評価し、コストとして計上する意識が必要です。

家族経営でも人時売上高を意識した経営を

最終的に、家族経営が「強い」と言われるためには、人時売上高を基にした経営管理が欠かせません。家族だからこそ協力し合える強みを最大限に活かしつつも、労働のコストを無視することなく、適切に評価することが、長期的な経営成功のカギとなります。

もし、家族全員の労働が正当に評価されていない場合、実際には「強い」経営とは言えず、単にコストを無視しているだけの状態です。家族経営でも、すべての労働を数値として管理し、効率的な経営を目指すことで、持続可能なビジネスを築いていくことが可能となるでしょう。

家族経営だからこそ、経営の効率性を高めるために人時売上高をしっかりと把握し、それを基にした経営判断を行うことが、成功への最短ルートです。


飲食店経営やカフェ運営に役立つ情報をもっと知りたい方は、私のTwitterをぜひフォローしてください!日々の経営のヒントや、コスト管理のコツ、さらに新メニューの紹介など、リアルタイムで発信しています。皆さんのカフェ運営やビジネスの参考になる情報を提供していますので、ぜひチェックしてみてください!フォローはこちらから → @matsu_cafe_exe