カフェ経営での値下げはなぜダメなのか?数字的に解釈してみる

経営知識

カフェ経営において、値下げやセールを実施するのは非常に慎重に行わなければならない施策です。単に「お客さんを増やせばいい」と考えて値下げを行うと、売上が伸びても利益が減る、オペレーションが混乱するなど、逆効果になる場合があります。今回は、実際の数値をもとに、なぜ値下げがリスクを伴うのかを解説していきます。

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値下げの影響を数値で解釈する

たとえば、800円の商品があり、その原価率が20%だとしましょう。この商品は、原価が160円(800円 × 0.2)で、利益は640円(800円 – 160円)です。これを2割引の640円で販売するセールを行った場合、利益はどのように変化するのでしょうか?

まず、640円で販売すると、原価は変わらず160円のままです。したがって、利益は640円 – 160円 = 480円になります。元の価格で販売した場合の利益が640円だったので、セール価格での利益は160円も減少することになります。

何個売れば元が取れるのか?

次に、元々の利益を維持するためには、どれだけ余計に売らなければならないかを計算してみましょう。元の価格で商品を1つ売ると640円の利益が出ますが、セールでは1つあたり480円の利益しか得られません。

利益の減少分は640円 – 480円 = 160円です。この差を埋めるためには、640円 ÷ 480円 ≈ 1.33倍、つまり元の販売個数の1.33倍売らなければなりません。たとえば、通常100個売れていた商品であれば、セール時には約133個売る必要があります。つまり、33個多く売らないと、セールによって利益が減ってしまうということです。

具体的に、100個売った場合の金額を見てみましょう。

通常価格で100個販売

 800円 × 100個 = 80,000円

 その内、利益部分は640円 × 100個 = 64,000円の利益です。

セール価格で133個販売

 640円 × 133個 = 85,120円

 その内、利益部分は480円 × 133個 = 63,840円の利益です。

このように、セール価格では133個販売しても、得られる利益は通常価格で100個販売した場合とほぼ同じになります。つまり、値下げをすることで余計に33個売らなければ、元の利益を維持できないということです。

トントンラインから利益を上げるには

さらに、セールを行った場合、133個売ることでようやくトントンとなります。しかし、利益を上げるためには134個目からがようやくスタートです。134個目からの売り上げがやっと利益に貢献することになります。

たとえば、134個販売した場合の計算を見てみましょう。

セール価格で134個販売

 640円 × 134個 = 85,760円

 その内、利益部分は480円 × 134個 = 64,320円の利益です。

このように、134個目を売って初めて、通常価格で100個売った場合の利益を超えることになります。このように、値下げを行う場合、元の売上を維持するためにはかなりの追加販売が必要であり、さらに利益を上げるためにはより多くの商品を売ることが求められるということです。

単純に売上が増えれば良いという考えで値下げを行うと、利益が減少し、実際には店舗全体の収益を圧迫する可能性が高くなります。ここで大事なのは、値下げの前にしっかりと目標とシミュレーションを立てることです。

実際の経験:500円ランチの失敗

会社員時代に、値下げが逆効果になった経験があります。ある時、500円のランチメニューを提供するようにという指示が出されました。確かに、そのランチメニューを導入した結果、客数は急増しました。しかし、結果的に売上は変わらず原価率は上がり、さらにオペレーションが複雑になり、現場が疲弊する事態に陥りました。

500円のランチメニューの指示を出した役員は、しっかりとした目標設定や実施後の検証を行っていなかったため、現場での運営は混乱をきたしました。実際に、安く提供することでお客さんが増えるのは確かですが、そのためには効率的なオペレーションが必要です。特にランチのように短時間で大量の注文をさばかなければならない状況では、メニューの価格を下げると、オペレーションが破綻するリスクが高まります。

500円という低価格で提供するには、より多くの商品を短時間で提供しなければならず、スタッフの負担が増加し、ミスも増える可能性があります。また、低価格の商品は原価が一定であっても、利益率が下がるため、利益を維持するためには客数を大幅に増やす必要があります。これはオペレーション面でのプレッシャーだけでなく、食材や資材の管理にも負荷をかける結果となります。

原価率とオペレーションの複雑化

500円ランチの失敗において、もう一つの問題は原価率の増加です。500円という低価格で販売するためには、原価を大幅に抑えなければなりませんが、品質を維持したままコストを削減するのは簡単ではありません。原価が高い商品を低価格で販売すると、利益が大幅に減少し、カフェ全体の収益を圧迫します。

さらに、オペレーションの複雑化も見逃せないポイントです。特にランチタイムのピーク時には、大量の注文が集中するため、効率的にさばく必要があります。低価格のメニューは通常よりも多くの注文を受けるため、スタッフが忙殺され、サービスの質が低下する危険があります。お客さんが増える一方で、対応が追いつかず、結果的にクレームが増えたり、リピーターが減るリスクもあります。

値下げやセールのリスク

このように、値下げやセールは単なる集客手段として考えるべきではありません。事前にしっかりとした目標設定やシミュレーションを行わなければ、売上が増えても利益が減少し、オペレーションが崩壊するという結果を招く可能性があります。

特に、カフェのような小規模な店舗では、限られたスタッフと資源で運営を行っています。そのため、値下げやセールを行うことで一時的に集客が増加しても、それに対応できるだけのオペレーションが整っていなければ、サービスの質が低下し、結果的に顧客満足度が下がってしまいます。利益を守りながら集客を増やすためには、適切な価格設定と効率的なオペレーションの両立が重要です。

結論

スターバックスは値下げしないことで有名ですね。でもその昔セールを実施して失敗した経験があるんです。

スターバックス成功物語

カフェ経営において、値下げやセールは一見魅力的な施策に思えますが、実際には大きなリスクを伴います。値下げを行う前には、必ずしっかりとした目標とシミュレーションを行い、どれだけの追加販売が必要になるのかを把握する必要があります。

また、値下げによってオペレーションが複雑化する場合、そのリスクも考慮に入れた上で判断することが求められます。特に短期間で集客を増やしたいという場合には、単なる値下げではなく、商品の質を落とさずに価格に見合った付加価値を提供する方法を検討することが重要です。

カフェ経営では、利益を守りながら集客を増やすためには、単に価格を下げるのではなく、顧客の満足度を高める施策を考えることが成功への鍵です。

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